お気に入りの土地を見つけることができたとしても、希望通りのお家が建てられるとは限りません。
たとえ自分の土地だとしても、「だれでも自由に建物が建てられる」ということでは都市開発や周辺居住環境を整える上であまり良いことではないからですね。
この「どの建物なら建築しても良いか?」というのは、日本の法律では「都市計画法」や「建築基準法」によって規制が設けられています。
今回はその中でも、マイホームを建てる際に気をつけるべき、用途地域や建ぺい率・容積率といった基本的なルールについて解説していきます。
基礎知識① 建ぺい率ってなに?
建ぺい率とは、その土地の敷地面積に対してどのくらいの面積の建物を建てることができるか?という制限になります。
この割合は後ほど説明する「用途地域」によって色分けされた土地の区分に応じて異なりますが、「建ぺい率が60%」という制限がかけられた土地の場合、敷地面積が100㎡の場合だと1階部分の建築面積は60㎡が上限ですよ、ということになります。
基礎知識② 容積率ってなに?
容積率とは、敷地面積に対してどの程度の延床面積の建物を建てられるかという制限です。
こちらの制限も「用途地域」によって色分けされた土地の区分に応じて異なりますが、「容積率が200%」という制限であれば、敷地面積が100㎡の場合、延べ床面積は200㎡が上限ですよ、ということになります。
基礎知識③ 用途地域ってなに?
用途地域は全部で12種類あります。
その中でも住宅を建てることができるのは11種類あります。
当然ですが、それぞれの地域には特色や用途地域の指定理由があり、大規模な商業施設や風俗営業店、環境に影響を与えそうな工場が建築可能な地域はできる限り「住宅」を設けるのは避けるのが賢明です。
上記に挙げた建ぺい率や容積率はこの用途地域の種類に応じて法律で区域ごとに上限が指定されています。
第一種低層住居専用地域
2階建てをメインにした戸建て住宅やアパート主体の住居地になります。
小規模な公共施設の建設は可能ですが、原則的にはコンビニなどの商業施設ですら建設不可です。
あなたがお住まいの地域が「閑静な住宅街」という雰囲気の場合、その地域はこの「低層住居専用地域」に指定されているかもしれません。
住宅を新築する場合は最も好まれる地域です。
第二種低層住居専用地域
上記の第一種低層住居専用地域の中で建てられる建物に加えて、コンビニなどのごく小規模な商業施設を建設することが可能です。
住居中心の住宅街から、少し大きめな道に面した地域に多い用途地域になります。
この地域も住宅を建築する場合にお客さまから好まれる地域です。
第一種中高層住居専用地域
この地域には、3階建てのアパートやマンションの建築が可能になります。
必然的に人の出入りも多くて、閑静な住宅街という雰囲気ではないかもしれませんね。
中規模な公共施設や病院、大学などの教育施設を建設することが可能ですが、アミューズメントパークやホテルなどの建設はできません。
「病院などの公共施設は近くにあった方が安心」という方にはぴったりの地域かもしれません。
第二種中高層住居専用地域
上記の第一種中高層住居専用地域に建てることができる建物に加えて、小規模なスーパー、やや広めの商業店舗や事業用の事務所などを建築することが可能です。
この地域以降、人の出入りはどんどん増加していきます。
「住居」というには少し開けた土地や、周りには大きめの建物が目立つようになります。
第一種住居地域
上記までの地域で建設可能な建物に加えて、小規模なホテルなどの宿泊施設、運動場などのスポーツ施設、中規模の百貨店などが建設可能になります。
もちろん一戸建てなどの住居も建設可能です。
しかし、「閑静な住宅街」という雰囲気ではない土地柄が多いです。
病院やスーパーなどは近くにあった方が断然便利!という方にはおすすめです。
第二種住居地域
この地域では10,000㎡までの商業施設や事務所、ホテルなどの宿泊施設を建設することが可能です。
また、環境に影響の少ない工場などの施設を建設することも可能です。
小さな町工場などを見かけるような地域ですとこの第二種住居地域に指定されているかもしれませんね。
(厳密には上記に挙げた用途地域の中でも特定の用途地域にのみ建てることが許されている建物もありますが、「マイホーム」とはあまり関係のない専門的な説明になりますので割愛します。)
あなたがお家を建てるならどの用途地域にする?
お家を買おう、またはお家を建てようとする場合、その周辺の環境を事前に確認しておきましょう。
この確認の際、同時に必ず行って頂きたいのが用途地域の確認です。
用途地域というのは都市計画法の地域地区の一つで、それぞれ建物の用途が混在しないように、生活上の混乱を防ぐ目的で制定されました。
例えば、閑静な住宅街だと感じて購入した土地に建物を建てたが、後からパチンコ屋ができてしまい環境が悪化してしまった、という失敗談もあります。
上記に挙げたように、用途地域に応じて建物の規制が敷かれていますので、しっかりと用途地域を把握していれば回避できたであろう問題も多く見受けられ、土地購入の際は注意が必要です。
また、近隣の調査では問題なかったが、少し離れたところに大規模な商業施設がオープンして人の流れが変わった、交通量が爆発的に増えた、というケースもあります。
一生住むことになる可能性が高いマイホームです。
少し広いかな?というくらいの広範囲の用途地域を調べておきましょう。
今後建設されるであろう建物によってはあなたの生活が一変してしまう可能性もあります。
最後までお読み頂きましてありがとうございました。
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