テレビを見ていると時折、「リースバック」や「リバースモーゲージ」などの言葉が聞こえてくるようになりました。
CMを打って大々的に広告活動を展開している上場企業さんも増えてきており、注目度が高くなってきているのが伺えます。
今回は、両者の違いや今後の動向などを消費者目線でまとめてみました。
リースバックってなに?まずは仕組みを理解しよう
結論からお伝えすると、リースバックとは持ち家の「賃貸化」のことです。
仕組みは単純で、不動産会社へ現在住んでいる持家を売却して売却代金を受け取りながらも、自分はその不動産会社に毎月家賃を払ってそのまま住み続けることができる、というものです。
例を挙げると、企業が所有する自社ビルを売却して資金を得た上で、売却した自社ビルにそのまま賃料を払って使い続ける「セール・アンド・リースバック」という仕組みがありますが、それが個人向けにカスタマイズされたようなスキームになっています。
家を売る側の利点としては、
などなど。
資金が必要なファミリー世帯などでは、計画外の出費に悩まされることも多くありますから、そういったニーズを取り込んで現在サービスが拡大中のようです。
リバースモーゲージってなに?始まりは40年前から・・・
次に、「リバースモーゲージ」です。
「リバースモーゲージ」はカタカナ語でなんとなく難しいような印象を受けますが、
単に「自宅を担保にしてお金を借りる」ということです。
1981年に武蔵野市が導入した「福祉資金貸付制度」というものがそのスタート起源になります。
その後に周辺の世田谷区なども同調して広がっていきました。
現在では自宅を担保にして金融機関から老後資金を借り入れる制度全般を指しますが、戸建て持家を所有している高齢の方たち向けに老後資金として貸し出すことが多いです。
リースバックとの大きな違いは「不動産の所有権」と「資金使途」にあります。
リバースモーゲージはあくまでも借り手の「老後資金」が目的です。ですが、リースバックの場合は比較的に自由に家を売ったお金を使うことできます。
つまり、リバースモーゲージの場合だと自宅を担保に資金の融資を受けていた方が亡くなった場合、担保となっていた自宅は売却されて融資資金が回収されるというスキームだということが分かります。
借入の方法として、
ご融資金額「400万円」など、一括で金融機関から融資を受ける方法。
年金に上乗せされるようなイメージで、毎月一定の金額が金融機関から「融資」という形で提供される方法。
金融機関との「契約」で決めた限度額以内であれば、自由に出し入れが可能な「借入枠」を作成する方法。
どの方法が自分に合うのかを考えて選べる点で、自由度が高いのがリバースモーゲージです。
リースバックとリバースモーゲージの違いは何だろうか?
少し違いが分かりにくいかと思うので、表にして「リースバック」と「リバースモーゲージ」の違いをまとめてみました。
比較項目 | リースバック | リバースモーゲージ |
---|---|---|
対象物件 | 不動産全般 | 土地付きの建物 |
対象者 | 個人・法人 | 個人 |
年齢制限 | なし | 制限があることが多い |
住宅ローン | 抵当権が設定されていても可能 | 抵当権により利用不可も多い |
資金使途 | 自由 | 老後資金(例外あり) |
所有権 | 売却先へ譲渡 | 本人 |
家族の同居 | 可能 | 配偶者のみ(例外あり) |
家賃支払い | 賃料支払いが発生 | 発生しない(融資) |
契約終了後 | 退去・再購入 | 売却・相続人による返済 |
「不動産」に関連した制度という点から、所有権がどちらにあるのか?が最大の違いではないかと感じています。
あなたは上の表のそれぞれの違いから、どう感じるでしょうか?
単に「お金を借りる」という方法なら両者ともに可能です。
しかし、そのプロセスがぜんぜん違うということは必ず理解しておいた方が良いと思います。
消費者はどちらを選んでいるのか?
リースバックとリバースモーゲージ、どちらが利用されることが多いのでしょうか?
現在では圧倒的に「リバースモーゲージ」が利用されているようです。
リバースモーゲージに比べて利用条件がゆるく、資金使途が自由などのメリットがあるリースバックですが、実は積極的に利用したいというニーズは現状ではかなり低いということが分かっています。
理由としては「利用するまでの手続きの簡略性」にあります。
リバースモーゲージの方は高齢者が自分の家に住み続けながら、家の所有権は手放さずに担保にすることで融資を受けることができるために取引の実行後でも家賃を払う必要がないというのが最大のメリットのようです。
また、「不動産の所有権を手放していない」というのも心理的に安心感を与えているのかもしれません。
自分にとって必要な「お金を得る」までのハードルが低いために、リバースモーゲージの方が利用のしやすさを感じやすいのかもしれません。
もう一度、所有している不動産の有効活用を考えてみる
今回は「不動産」を活用した資金調達の仕方を見てきました。
以前は民間金融機関も消極的であったリバースモーゲージですが、現在では老後環境を取り巻く状況が大きく変わっています。
融資条件を緩和する地方銀行や、リバースモーゲージの保証業務を行う専用会社も金融業界へ新規参入しています。
どちらの制度も「不動産」の有効活用の1つの方法論に過ぎません。
重要なことは「あなたにとってどちらが合っているか?」です。
家族状況や老後資金などは人それぞれで、家族ごとに違いがあって当たり前。
さまざまな選択肢がある中で、あなたにとって少しでも資金的にお得になる方法を探すお手伝いができれば幸いです。
この記事に関する質問、または具体的な相談などがありましたらホームページの問い合わせフォームか、お電話にて受付しております。
最後まで読んで頂きましてありがとうございました。