金利だけで選ぶと大損?! 低金利時代の住宅ローンとの付き合い方。

2017年1月末に日本銀行がマイナス金利を導入し、住宅ローンは過去に例をみない歴史的な低金利状態が続いています。

2008年には最高で3.05%だったフラット35の基準金利は、長期金利の下落とともに2%台となりました。

【参考】財務省 国債金利情報

マイナス金利となった2017年には最低で0.90%まで低い水準になり、2021年現在は基準金利1.30%台で推移してます。

銀行員さんや不動産屋さんのセールストークの言いなりにならず、自分で考えて最良の住宅ローンの組み方を探したい場合はどうすれば良いのでしょうか?

今回の記事では、低金利時代の今だからこそ「金利が低いだけ」という落とし穴のような住宅ローンの組み方を避ける方法を分かりやすくまとめてみました。

最後まで読んで頂ければ、「地雷のような住宅ローンの組み方」を避ける方法はご理解頂けると思います。

目次

なぜ?一番大事な借入額と返済金額、あなたではなく不動産屋に考えさせるの?

住宅を購入するという経験は人生で最初で最後、一番大きな買い物となる方がほとんどだと思います。

本当に何千万円もの借金を抱えてまで自分に必要なのか?いきなり判断できる方はいないと思います。

まずは、借入額のシュミレーションアプリを使って具体的な金額を出してみましょう。

見える化することで冷静に判断できるようになる可能性が少しでも高くなるからです。

 住宅ローン返済額シュミレーション 住宅保証機構株式会社

不動産屋さんの営業マンは必ず、

「毎月の返済金額は家賃並みで安心!最後まで支払えば自分のものになるので住宅は大きな資産!」

とあなたを勧誘するかと思いますが、しっかりと考えて返答しましょう。

現在のあなたの給料、そして現在支払っている家賃や光熱費、ご家庭で発生する今後のイベントなどの費用を可能な限り書き出してみましょう。

おそらくですが、計算できても数年先までだと思います。

十数年先のことまではとても計算ができないのではないかと思います。

病気や怪我などを考えると、数年先も危ういかもしれませんね。

今払っているアパートの家賃並みだから、あなたが今後もずっと支払えるとは限りません。

場合によっては払えなくなる可能性も高いはずです。

おすすめの返済額の目安は今後の生活のための貯蓄を加味したシュミレーションをすること。

お給料の手取りが毎月40万円だとしたら、

返済金額 7万円

貯蓄金額 8万円

生活費 15万円

交際費 6万円

雑費  4万円   合計 40万円

とてもざっくばらんとした感じですが、上記のような内訳になります。

貯蓄に回すお金はボーナスなどの収入を前提にせず、かならず毎月の給料から積み立てるイメージです。

この場合、お給料から天引きされる厚生年金などは将来のための出費とはいえ、毎月の貯蓄には含めません。

あくまでも自分で自由に使える「現金」としてストックしておけるものを「貯蓄」とします。

こう考えると、毎月返済に回せることができる金額がどれだけ少ないかが視覚的に分かると思います。

また、35年ローンなどを組めばこの返済が35年間続くと想像してみましょう。しかも金利が上昇すれば返済金額も増加します。

本当に3,000万円の新築戸建、4000万円の新築マンションがあなたの人生に必要でしょうか?

中古の戸建て、庭も付いて1,000万円前後のお家もあります。

田舎に行けば総額500万円で広々した5LDKもちらほら。

まずはご夫婦でゆっくりと、将来のプランを考えてみることが大切です。

私が今まで住宅ローンのご相談や新築戸建てのご案内をする中でも、一番大事なこのスタートの部分が抜けてしまっているご家庭をたくさん拝見してきました。

この部分が抜けてしまっていると、自分がどのようなお家に住みたいか、住んでからどのような人生を送りたいか、お話しをさせて頂いていても見えてこないことがほとんどです。

まずは自分たちの理想とするお家に求める必要な条件を考えて、その次に将来への資金計画を出します。

そして、最後に許容できる返済金額の目安を考えましょう。

「そろそろお家がほしいから、とりあえず住宅見学会でも行こうかな」では必ず失敗します。

次は事前準備!住宅購入の流れをご説明します。

住宅を買おう、または住宅ローンを組もう、と考えた場合。まずは、スタートが大事というお話しをしました。

次に気をつけないといけないのが、しっかりと全体の流れを把握することです。

① 事前準備

必要とするお家の条件、許容できる返済金額などを夫婦でしっかりと共有する。

今の自分のお給料や貯蓄額を明確にして、視覚化しておく。

② 最低限の知識を勉強する

変動金利、固定金利ってどう違うのか?

一般的にはどの程度の借入期間で返済するものなんだろうか?

ハウスメーカーによって建てるお家はどのような違いがあるのか?

「不動産屋さんや銀行員さんに教えてもらえば良いや」という考え方は忘れてください。

営業マンは営業マンの会社にとって都合の悪いことを自分の方から言いません。

これは「悪いこと」ではなく、「心理的に当然のこと」だと思いましょう。

インターネットや住宅情報誌に公平で偏見がない、とても良い情報がたくさん載っています。

完璧を目指さなくても良いので、ある程度の知識を身につけておきましょう。

コンビニに100円のアイスを買いにいくのにわざわざ勉強をしなくても良いかと思いますが、

ハウスメーカーに3,000万円のお家を買いにいくのに勉強せずに行けば将来的に破産する可能性もあります。

お家を買うということはそういうことです。

③不動産屋さんに「購入申し込み」をする:新築戸建ての場合

不動産屋さんに案内をお願いし、ご夫婦で考えた末に気に入ったお家が見つかりました。

次に不動産屋さんを通じて売主さまに「購入の申し込み」をします。

購入申し込みした後は自分で住宅ローンを組む銀行を探すことになります。

④資料を整えて、いよいよ住宅ローン事前審査

銀行の場合、大半のケースで通常は以下の順に審査を行います。

1.「住宅ローン 事前審査」

2.「住宅ローン 本審査」

上記の順に審査が進みます。

本審査の場合は印鑑証明書や住民票、所得証明書など公的な証明書が必要になります。

まずは簡易的にお手元にある「住宅購入にかかる見積書」やお給料の「源泉徴収票」などを基に審査を行います。

事前審査が通った場合、不動産屋さんにその旨を連絡してください。

⑤いよいよご契約。重要事項の最終チェックを!

事前審査が通ったこと聞いた不動産屋さんが「本契約」をするためにいろいろと準備してくれます。

売買契約書と重要事項説明などに署名捺印を交わして契約が成立します。

その際、流れ作業のように重要事項説明を聞き流すお客さまもたまに見かけますが、必ず集中して不動産屋さんの説明を聞きましょう。

この「重要事項説明書」に書かれていたことに署名捺印した後は「知らなかった」では済まされません。

分からないことは必ず聞いて、納得してから契約を結んでください。

分からないことに応えられるように相手の不動産屋さんも勉強しているはずです。

⑥終盤戦!全ての書類をもとに銀行で「本審査」

ハウスメーカーと交わした「売買契約書」、不動産屋さんから説明を受けた「重要事項説明書」などの書類に加えて、銀行から要求された所得証明書や印鑑証明書などの書類を準備して銀行へ「住宅ローン 本申請」を行います。

大半のケースで銀行員さんの方から必要書類を書面で説明されるので、何を揃えたら良いか分からないということにはならないと思います。

基本的には、事前申請が通っているので本申請も問題ないのですが、以下の点に注意が必要です。

  • 事前申請の時の源泉徴収票と所得証明書の金額が違う場合。
  • 事情があって借入金額を増加させる場合。(減額の場合はOK)
  • 事情があって返済期間を伸ばす場合。(期間短縮はOK)
  • 指定された書類が事情があって準備できないような場合
  • 身体的な理由から団体信用生命保険に通らない場合  etc

上記のようなケースに該当する場合は本申請が通らないこともありますので注意が必要です。

⑦最後の戦い!銀行の応接室で譲渡決済!

譲渡決済の当日は住宅ローンでお世話になる銀行さんに不動産屋さんやハウスメーカーさんを含めた当事者が集まります。

大体のケースでは銀行の応接室を一時お借りして、一部始終を見守ることになるでしょう。

銀行の住宅ローンは、実行されるとまずは一度お客さまの普通預金口座に全額が入金になります。

その後、通常は振込みの形でハウスメーカーに代金を全額支払い、銀行の応接室で振込を確認して頂きます。

司法書士の先生に権利関係(登記移転)の申請などを代行して頂けるので、決済当日はあまりすることがなくて拍子抜けされるかもしれません。

火災保険の手続きなど、本当はいろいろと確認しておくべきことがありますが、くわしくは不動産屋さんに聞いてみてください。

まずは住宅を購入する前から、実際に自分のお家になるまでの概要を説明させてもらいました。

振り出しに戻ってもう一度事前準備!住宅購入で一番大切なこと!

全体の流れは上記で説明させて頂いた通りです。

改めて考えてみると、住宅購入の流れの中で一番重要になるのはどのパートでしょうか?

 銀行の審査は銀行員さんがやってくれます。

 住宅を建てるのはハウスメーカーさんがやってくれます。

 購入する戸建てのことは不動産屋さんが調べてくれます。

どのお家を購入するのか、選ぶのは誰でしょうか?

どの銀行で住宅ローンを組むのか、選ぶのは誰でしょうか?

どちらもあなたが決めることですね。

ここを不動産屋さんの言うがままにするのかしないのか?で、今後のマイホーム購入の満足度が大きく変わってきます。

重要になるのやはり事前準備。

「あなたがどのようなビジョンでお家を探しているか?」です。

住宅ローンの申請や、登記などの権利移転は専門家に任せていると流れ作業のように進んでいきます。

まずは自分が必要なお家、許容できる返済金額をご家庭収入の状況などからしっかりと自分で把握しましょう。

住宅ローン金利はどこも同じ?!利息シュミレーションは無意味という事実。

いよいよ本題。住宅ローンの組み方ですが、一つ注意しないといけなのが「利息シュミレーション」の罠です。

最近ではスマホのアプリやブラウザ式のツールで簡単に将来の金利支払い総額や返済金額を計算することができます。

計算してみるとすぐにお分かりになると思いますが、返済期間が30年や35年の場合ではわずか1%〜0.5%金利が変動するだけで総支払利息は300万円〜600万円程度変わってきます。

今後の金利が上がるのか?または下がるのか?は誰にも分かりません。

よくいろいろと予想を発表されている方がいますが、全面的に信用するようなことは控えた方が良いでしょう。

将来の金利動向が確信的に分かる人は世界中探してもどこにもいません。

どの銀行員さんもあくまでシュミレーションとして住宅ローンの返済計画をお客さまにご提示しています。

仮ではありますが金利を想定してシュミレーションを作成しないことにはお客さまにもご説明できないからですね。

大事なのはその情報の信憑性よりも、住宅ローンを組む側の情報の受け取り方です。

総支払金額や総支払利息はあくまで目安として、今後の返済計画を立てるための指針として使いましょう。

将来的に予定8万円の返済金額が、利息の支払いが増えて9万円になることがありえます。

またその逆に予定8万円の支払いが金利の低下で7万円になることもありえます。

金利ではなく総合的なオプションで満足度が上昇?団体信用生命保険を活用する!

金利が高い、低いを決めるのは住宅ローンを申請する方の状況によります。

どの銀行も申請人の属性や年収、住宅ローンの対象となる不動産の評価額に応じて金利を引き下げることが可能です。

逆に、属性があまり良くない場合は金利が上がることもあります。

住宅ローンはあくまで銀行が準備した一つの金融商品ですので、「この人は大丈夫かな?」という方への住宅ローンの金利は上がります。

この記事では金利を低くする方法などをお伝えするよりも団体信用生命保険について解説しようと思います。

ところで、団体信用生命保険って何?

団体信用生命保険は住宅ローンを借り入れる際に加入するものです。

住宅を購入した後、住宅ローンの債務者が死亡したり高度障害になった場合は住宅ローンが返済できなくなってしまいます。

そうなるとお金を貸した銀行さんが困ってしまうので、住宅ローンの借入をする申請人に団体信用生命保険に加入してもらうことで返済できなくなることを防ぐわけです。

死亡したり高度障害になった場合は保険金で住宅ローンが相殺されます。

上記のことから、団体信用生命保険の保険料は銀行へ支払う金利に含まれていることがほとんどです。

今や一般の保険と同じかそれ以上!疾病保障付き団信って何?

疾病保障付き団信とは、ガンなどの特定の疾病が診断確定した場合に、保険金がおりて住宅ローンが相殺されるような保障がついた団体信用生命保険です。

ガンなどの重病にかかった場合には治療などの費用が新たに発生して「生きるために必要な費用」が増加し、住宅ローンが返済できなくなることがあります。

それに備えるために通常の団体信用生命保険に付随する形で特定の疾病に備えることが可能になるのが疾病保障付き団信です。

上記の保障に対する費用は、銀行に支払う金利の中に含まれています。

金利で他の銀行と差別化することが難しい時代になった今では、この団信の保障の内容で特色を出し、住宅ローンを検討しているお客さまにアピールしているんですね。

団信もいろいろ?銀行によって保障の内容が違うから注意。

特定の疾病に該当する場合に住宅ローンが相殺されるなどの特徴を持つを団体信用生命保険ですが、各銀行に応じてその適用方法が違うので注意が必要です。

たとえば、三菱UFJ銀行やりそな銀行が用意する団信の場合では、特定のガンと診断された場合は確定と同時に保険金がおります。

しかし、住信SBIの場合は就業不能1年後に保険金がおりるなど、三菱UFJ銀行などよりも条件面で見劣りしがちです。

それぞれの銀行によって金利以上に違いが出ている団体信用生命保険のことを、あまり気にしていない方が多いように思います。

今後の住宅ローン選びのポイントになる事項ですので必ずチェックしていきましょう。

金利よりも総合力で銀行を選ぶ。今の時代の住宅ローンの選び方。

少し前までは、どの銀行の住宅ローン金利が一番低いのか?といったことが住宅ローンを組む際の銀行さんの一番の選定基準でした。

しかし、今は低金利時代。

金利では差別化することが難しいと判断した銀行はいろいろな保険商品を展開しています。

金利競争が過熱化する前までは団体信用生命保険の種類もとても少なく、どの銀行の保険商品も変わりはありませんでした。

今では住宅ローンの返済中に死亡した場合のみならず、特定の病気になった場合にも住宅ローンが相殺になる保障がついた団体信用生命保険がたくさんあります。

それぞれの銀行の特色を理解して、賢い住宅ローンの組み方ができるようにいろいろと検討してみましょう。

参考までに私が調べた範囲で面白い保障が付いた地方銀行さんと都銀さんの住宅ローンプランをご紹介します。

どちらもネットで簡単に申請することができるので選択肢に入れておくだけでも良いかと思います。

 *常陽銀行 自然災害の際の特約まで付帯した住宅ローン 

 *千葉銀行 生活習慣病と11疾病を保障した団信などが魅力。

 *りそな銀行 「団信革命」なる商品を発表した話題のりそな銀行さん。

団体信用生命保険でなんとか差別化を図るため、どの銀行さんも特色がある保険を提供してくれます。

しっかりと見比べてみて、金利を含めたトータルメリットで自分にぴったりの住宅ローンを組めるようにしましょう。

また、何か分からないことがありましたら弊社のお問い合わせより何なりとご質問ください。

24時間以内に必ずお答えさせて頂いています。

最後までお読み頂きましてありがとうございました。

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この記事を書いた人

プロフィールをご覧いただきありがとうございます。宮北不動産の市橋といいます。
私たちが日々生活していく上で、不動産とのお付き合いは切ってもきれないものです。不動産に関することでお悩みのことがあれば、どのような内容でも構いません。お客さまから頂けるご相談に対して少しでもお力になれるように、誠心誠意ご対応させて頂きます。

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